第43回知的障害福祉月間中央行事セミナー
<岐路に立つ日本ー制度改革の行方ー>
(社)日本発達障害福祉連盟  常務理事  湯汲 英史(ゆくみ えいし)

 <岐路に立つ日本―制度改革の行方>
をテーマとし、第43回知的障害福祉月間 中央行事セミナーが開催されました

 「勝ち組―負け組」「階層化する社会」といった言葉が、社会をさ迷っています。階層化の有無については、学者間でも議論があるようです。ただ多くの人たちには、階層化への確信はなくとも社会が変わろうとしていることへの不安があります。不安の一因には、国を挙げての急速な「制度改革」が挙げられます。今回の領域を超えての制度改革は、一体何を目指したものなのか、これから日本はどのようになるのか、発達障害を持つ人に関係する者は将来に向け何をすればよいのかなど、不安や惑いが尽きません。今回のセミナーは、足元の見えない現状と、茫漠たる未来への足がかりを求めて開催されました。

 まず中島隆信先生(慶應大学)に、「経済学からみた今後の障害者福祉のあり方」についてお話いただきました。制度改革の背景には、破綻した国家財政があるとされます。先生には、経済学者の目から見て、障害者への教育・福祉・労働について分析、提言いただきました。「障害者=消費者、賢い消費者に育てよう」という考え方が新鮮でした。

 2講目は、落合俊郎先生(広島大学)に「制度改革としての特別支援教育の行方と課題」についてお話いただきました。これからの教育のあり方について、世界的な流れを踏まえてのレクチャーに、あらためて日本を外側から見る重要性を学びました。

 3講目は、前宮城県知事の浅野史郎先生(慶應大学)に「障害者福祉は政治そのもの」というテーマでお話しいただきました。障害があろうがなかろうが、みんな「いっしょに」が是非判断の基準という言葉に、はっとさせられ、また心に落ちるものを感じました。

 4講目は、杉本健郎先生(第二びわこ学園)より、「医療・介護制度の行方」についてお話いただきました。現在進められている「医療改革=医療費抑制」が、医療機関、特に重症児施設に及ぼしている影響について、鋭い分析と批判が続きました。

 5講目は、大曽根寛先生から「職業リハビリテーション制度の行方」についてお話いただきました。職業リハビリテーション関連の豊富な資料とともに、障害者の人権と労働権の問題について深い論及がありました。

 秋の一日、濃密で高度なお話を聞き、90名の方々とともに多くを学ぶことができました。